耳に起こる主な症状

耳
  • 耳が痛い
  • 耳が痒い
  • 耳だれが出る
  • 耳がつまった感じがする
  • 耳垢が溜まっている
  • 耳の聞こえが悪い
  • 耳鳴りがする
  • めまいがする

主な疾患

急性中耳炎

急性中耳炎は、鼓膜の奥に細菌などが炎症を起こす病気です。
急性中耳炎になると耳の痛みや不快感などの症状が出ます。ズキズキする激しい耳の痛み、発熱、耳だれ、耳がつまった感じなどが見られたときは急性中耳炎の可能性がありますので、早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
乳児の場合、言葉で痛みを訴えられないために機嫌が悪くなってぐずったり、耳をよく触る、耳を触って泣いている、耳だれが出るなどがみられることもあります。風邪を引いたときは保護者の方はお子様の様子をよく観察していただき、いつもと違う様子があれば耳鼻咽喉科を受診して頂ければと思います。特にRSウイルスやヒトメタニューモウイルスに感染した際は、発熱や咳などの症状が改善していくタイミングで中耳炎を合併しやすいことが知られていますのでご注意下さい。
急性中耳炎の治療は抗菌薬の服用が基本です(軽症の場合はまずは抗菌薬なしで経過をみることもあります)。膿が溜まり鼓膜が腫れ、痛みが強い時や、熱が高い場合は、鼓膜を少しだけ切開して溜まっている膿を排出します。 中耳炎を半年で3回以上または1年で4回以上繰り返す場合は反復性中耳炎といい、漢方を使用したり、鼓膜にチューブを入れる手術を行ったりすることもあります。

滲出性中耳炎

滲出性中耳炎は、鼓膜の奥にある中耳腔に滲出液という液体が溜まってしまう病気です。滲出性中耳炎では急性中耳炎のような痛みが生じず、難聴が唯一の症状であることも少なくありません。難聴の程度も軽い場合が多いので、気づくのが遅くなってしまうこともしばしばです。滲出性中耳炎の診断には、鼓膜を観察するだけでなく、聴力検査、鼓膜の動きやすさを調べる検査、内視鏡検査などを行って確定診断につなげます。
滲出性中耳炎だと分かったときは、内服治療に加え、鼻から耳に空気を送る耳管通気処置を行ったり、鼓膜を切開して中に溜まった滲出液を出したりします。何度も症状を繰り返す場合は、鼓膜にチューブを入れる手術を行うこともあります。

滲出性中耳炎を長期間放置していると、鼓膜が凹んでいき耳の奥(中耳)の骨と癒着する癒着性中耳炎や、鼓膜が耳の奥(中耳)に入り込み真珠腫という垢がたまり周囲の骨を溶かす真珠腫性中耳炎になりやすくなってしまいます。

慢性中耳炎

慢性中耳炎は鼓膜に穴が開いたままになっている病気です。慢性中耳炎の状態になっていると、耳だれを繰り返します。長期的には鼓膜に穴がない方に比べて聴力が悪くなりやすいとも言われています。

慢性中耳炎の治療は、抗生剤の点耳薬や耳の処置をすることによって耳だれを止めます。但し、一度治ったとしても鼓膜に穴が開いている状態のため、耳に水が入ったり、風邪をひいたりすると再び耳だれを繰り返します。再発防止のためには鼓膜の穴を閉じる手術が必要となります。

真珠腫性中耳炎

真珠腫性中耳炎は鼓膜が耳の奥(中耳)に入り込み真珠腫という垢がたまり、周囲の骨を壊しながら進行していく病気です。真珠腫性中耳炎が悪化すると、三半規管を壊してめまいを起こしたり、顔面神経麻痺や髄膜炎になってしまう可能性もあります。

真珠腫性中耳炎を治すためには、ほとんどの場合は手術が必要です。

外耳炎

外耳炎は耳の入り口から鼓膜までの外耳道と呼ばれる部位に細菌感染や炎症が起こる病気です。耳掃除や耳の触りすぎが主な原因です。外耳炎になると耳の痛みや痒みといった症状が出現し、日常生活に支障を来たすこともあります。外耳炎が進行すると、耳の穴から異臭や耳だれが出たりします。外耳道が炎症によって腫れると、耳が聞こえづらくなることもあります。また、耳にできものが生じる限局性外耳炎は、できものが破れて膿や血液が出ることもあります。
外耳炎の治療は耳だれの吸引などを行い、耳をきれいにします。そして、軟膏を塗ったり、点耳薬を使用したりします。抗生剤を使用することもあります。限局性外耳炎では、先程の処置に加え、できものを切開し膿を出したりもします。痛みが強い場合は、鎮痛剤を用いることもあります。

伝音難聴

伝音難聴は外耳や中耳の異常によって生じる難聴です。伝音難聴では耳がつまった感じがする、大きな音は聞こえるが通常の音が聞こえにくいなどの症状が出現します。中耳炎などが原因で起こるケースと、耳小骨の奇形など先天的な原因で起こるケースがあります。

伝音難聴の治療は中耳炎からであれば薬物療法や鼓膜切開など、耳小骨が原因であれば手術などが主な治療法になります。また補聴器を使用すると、よく聞こえるようになります。

感音難聴

感音難聴は内耳や聴神経の異常によって生じる難聴です。感音難聴の原因はいろいろですが、大きく分けると、先天的な原因と後天的な原因があります。先天的な難聴の原因は、遺伝性、または胎児期における発達異常です。一方、後天性の難聴は、加齢、外傷、強大な騒音、髄膜炎、聴神経にできた腫瘍などによって起こります。様々な原因があり、難聴の程度により治療法は変わってきますが、補聴器の使用、人工内耳の装用などを検討します。

突発性難聴

突発性難聴は、急に耳が聞こえなくなる疾患であり、通常は片側で起こります。詳しい原因はまだ分かっておらず、急激に発症する感音難聴のうち、原因不明のものを突発性難聴と呼んでいます。突然耳が聞こえなくなるだけでなく、耳鳴りや耳がつまった感じ、めまいや吐き気などが生じることもあります。難聴の程度によっては、入院治療が望ましいケースもあり、そのような場合は病院を紹介させて頂いております。

耳鳴り

耳鳴りは、周りに音が出るものがないのに音が鳴っているように感じられる症状です。耳鳴りを訴える人の多くは何らかの聴力障害を持っている方が多いのですが、検査上は正常でも、耳鳴りを訴えるケースがあります。音は外耳、中耳、内耳、聴神経、中枢神経を通って伝わっていくのですが、いずれの部位で異常があっても耳鳴りを起こします。また、過労やストレス、心因的要因によっても耳鳴りは強くなったり、弱くなったりします。

耳鳴りが起こったときは、原因療法、耳鳴りの抑圧療法などが必要となります。このうち原因療法は、耳鳴りの原因がはっきりしている場合に行われます。中耳炎が原因なら中耳炎の治療を、メニエール病や突発性難聴が原因なら、それぞれの治療を行います。しかし、耳鳴りの原因を治せば耳鳴りが完全に消えるかと言うと、必ずしもそうとは限りません。

耳鳴りの抑圧療法は、いろいろな手段を使って耳鳴りを封じ込め、意識しないようにする方法です。その手段としては、精神安定薬や鎮静薬、抗けいれん薬、漢方薬を用いるなどがあります。

それでも改善しない場合は、TRT療法という雑音を常に流し耳鳴りに脳が慣れるように訓練をする治療法などもあります(当院で可能です。ご相談下さい)。

加齢性難聴

年齢とともに徐々に聴力が低下してしまうことによる難聴です。初期の段階では高い音が聞こえ難くなることが多いです。徐々に進行し、高い音以外の音も聞こえづらくなっていきます。ご年齢とともに誰でも起こりうるのですが、個人差もあり、比較的若い頃から聞こえづらくなるかたもいれば、70歳を過ぎてもあまり聴力が落ちない方もいらっしゃいます。現時点では聴力の改善への有効な治療法はなく、補聴器を使用することによって会話の不便さを軽減することで対応します。

耳垢栓塞

耳垢がつまった状態のことを耳垢栓塞と呼んでおり、耳の閉塞感、難聴、耳鳴りなどの症状が見られるようになります。このような場合は、耳の中を見ながら、鉗子や吸引管などを駆使して丁寧に耳垢を取り除きます。耳垢が硬くなかなか取れない場合には、耳浴を行って軟らかくしてから取ることもあります。痛みが強かったり、頑固でなかなか取れなかったりするような場合は、2~3回に分けて除去することもあります。