小児耳鼻科とは

小児耳鼻科

乳幼児や小さいお子さんたちの耳、鼻、のどの疾患、感染症、アレルギーなど、幅広い病気に対応します。また、お子さんたちが安心して診察や治療を受けられるようにするために、お子さんに優しい検査方法や治療方法を選択します。

主な疾患

小児耳鼻科の疾患について

ヘルパンギーナ(夏風邪)

ヘルパンギーナは乳幼児(4歳以下がほとんどで1歳が最も多い)を中心に夏(6~7月頃)に流行する夏風邪の代表です。原因は主にコクサッキーウイルスA群と言われています。ヘルパンギーナは熱が出たり、口蓋垂の近くの粘膜に水ぶくれができるのが特徴です。熱は3日程度で解熱します。のどが痛いため食事が取りづらくなることもあります。
ヘルパンギーナの治療は対処療法が基本です。発熱があれば解熱剤を、のどが痛ければ痛み止めを使用して下さい。
ヘルパンギーナは感染したとしても一律に出席停止となる感染症ではありませんが、「条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症」という扱いになっており、その時の学校の判断によりますので、学校からヘルパンギーナになった際には休むよう指示があれば従ってください。出席停止となった際は、発熱や口腔の水疱が落ち着き、全身状態が安定すれば出席可能になります(目安であり一律に決まった基準はありません)。

溶連菌感染症

溶連菌感染症は咽頭炎や扁桃炎の原因となる疾患で、A群β溶血性連鎖球菌が主な原因といわれております。溶連菌感染症は発熱やのどの痛みが出現し、舌にイチゴのようなツブツブができたり(イチゴ舌)、体や手足に小さく赤い発疹が出たりすることもあります。回復期(2週間前後)には手のひらや足の裏の皮膚がめくれることもありますが自然に治ります。
溶連菌感染症の治療は抗菌薬になります。合併症を防ぐため5~10日抗菌薬を飲み続ける必要があり、発熱やのどの痛みなどの症状が改善したとしても、薬をやめないように注意して下さい。
溶連菌感染症になったとしても一律に出席停止となる感染症ではありませんが、「条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症」という扱いになっており、その時の学校の判断によりますので、学校から溶連菌感染症になった際には休むよう指示があれば従ってください。出席停止となった際は、抗菌薬で治療開始後24時間を経過し、全身状態が良ければ出席可能になります(目安であり一律に決まった基準はありません)。

咽頭結膜熱(プール熱)

咽頭結膜熱は年間を通じて発生する疾患ですが、特に夏期に多く、7~8月にピークとなります。原因はアデノウイルスと言われています。
咽頭結膜熱になると発熱、咽頭炎や扁桃炎による咽頭痛、結膜炎に伴う目の充血や目やになどの症状がでます。
咽頭結膜熱の治療は対処療法が基本です。1週間程度で軽快することが多いです。
咽頭結膜熱になった場合、発熱、充血等の主な症状が消失した後2日を経過するまで出席停止となります。

手足口病

手足口病は乳幼児(5歳以下)を中心に主に春~夏にかけて流行する疾患です。原因は主にコクサッキーウイルスA6、A10、A16、エンテロウイルス71と言われています。
手足口病の症状は発熱やのどの痛みで、口の中、手足の末端、おしりなどに水疱(水ぶくれ)が出ます。
手足口病の治療は対処療法が基本です。多くは3~7日で軽快します。
手足口病になったとしても一律に出席停止となる感染症ではありませんが、「条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症」という扱いになっており、その時の学校の判断によりますので、学校から手足口病になった際には休むよう指示があれば従ってください。出席停止となった際は、発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事が取れるようになると出席可能になります(目安であり一律に決まった基準はありません)。

RSウイルス感染症

RSウイルス感染症は、RSウイルスに感染することによって引き起こされる病気です。RSウイルスの流行は秋~冬が多いと言われています。RSウイルスは、1歳までに半数のお子さんがかかり、2歳までにほとんどのお子さんがかかるウイルスです。
RSウイルスの潜伏期間は2~8(多くの場合4~6)日間とされ、発熱、鼻汁、咳など軽い風邪のような症状が出現し、中耳炎を合併することもあります。しかし、重症化すると気管支炎や肺炎の兆候が見られ、中には呼吸困難を起こして入院することもあります。
RSウイルス感染症の治療は基本的に対処療法となります。通常は数日から1週間くらいかけて徐々によくなります。
RSウイルス感染症になったとしても一律に出席停止となる感染症ではありませんが、こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」では「医師の診断を受け、保護者が登園届を記入することが考えられる感染症」という位置づけになっています。
幼稚園・保育園からRSウイルス感染症になった際には休むよう指示があれば従ってください。出席停止となった際は、呼吸器症状が消失し、全身状態が良くなれば出席可能になります。(一律に決まった基準はありません)

ヒトメタニューモウイルス感染症

ヒトメタニューモウイルス感染症は2001年に発見されたRSウイルス感染症に似たような症状を引き起こす病気です。
ヒトメタニューモウイルスの流行は春~初夏が多いと言われ、5歳までにほとんどのお子さんがかかるウイルスです。
ヒトメタニューモウイルスの潜伏期間は3~5日間とされ、鼻汁、咳、のどの痛み、発熱などの症状が出現し、中耳炎を合併することもあります。重症化すると気管支炎や肺炎の兆候が見られ、中には呼吸困難を起こして入院することもあります。
ヒトメタニューモウイルス感染症の治療は基本的に対処療法となります。通常は1週間程度で徐々によくなります。
ヒトメタニューモウイルス感染症になったとしても出席停止の必要はありません。

インフルエンザ

インフルエンザは A型またはB型インフルエンザウイルスが原因で、主に冬に流行する疾患です。潜伏期間は1~3日間とされています。発熱、倦怠感、関節痛、筋肉痛などの全身症状や、咽頭痛、鼻汁、咳などの気道症状がでます。
インフルエンザの治療は抗インフルエンザ薬(内服・吸入など)が基本となります。通常約1週間で軽快します。
インフルエンザワクチンを接種することにより感染した際の症状を軽減できると言われています。
インフルエンザになった場合、発症した後5日かつ解熱した後2日(保育園や幼稚園だと3日)が経過するまで出席停止となります。明石市や神戸市では医療機関に発症日を確認し、保護者の方が報告書に記載し学校に提出することとなっております。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

新型コロナウイルス感染症はSARS-CoV-2というウイルスが原因で引き起こされる疾患です。
新型コロナウイルス感染症になると発熱、倦怠感、頭痛、鼻汁、味覚異常、嗅覚異常、呼吸器症状、消化器症状などの症状が見られますが、無症状の方もいます。発症後5日間は他人に感染させるリスクが高いと言われております。
新型コロナウイルス感染症になった場合、発症した後5日かつ症状が軽快した後1日が経過するまで出席停止となります。 無症状の場合は、検体を採取した日から5日を経過するまで出席停止となります。明石市や神戸市では医療機関に発症日を確認し、保護者の方が報告書に記載し学校に提出することとなっております。
※「症状軽快」とは、解熱剤を使用せずに解熱し、かつ、呼吸器症状(咳や息苦しさ等)が改善傾向 にあることを指します。

マイコプラズマ感染症

マイコプラズマ感染症はマイコプラズマ・ニューモニアという病原体が引き起こす疾患です。マイコプラズマ感染症は4年周期でオリンピックの年に流行しやすい感染症で、6~12歳を中心とした幼児期、学童期、青年期に罹患することが多いと言われています。
マイコプラズマ感染症の潜伏期間は2~3週間とされ、発熱、全身倦怠、頭痛などの症状が出現し、数日すると乾いた咳が出現します。咳は徐々に強くなり、解熱後も長く続きます(3~4週間)。様々な合併症(中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、関節炎など)をおこすこともありますし、また、重症肺炎となることもあります。
マイコプラズマ感染症の治療はマクロライド系の抗菌薬(クラリスロマイシンなど)が第一選択となります。
マイコプラズマ感染症になったとしても一律に出席停止となる感染症ではありませんが、「条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症」という扱いになっており、その時の学校の判断によりますので、学校からマイコプラズマ感染症になった際には休むよう指示があれば従ってください。出席停止となった際は、全身状態が良好になると出席可能になります。
(目安であり一律に決まった基準はありません)

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

流行性耳下腺炎はムンプスウイルスが原因で引き起こされる病気です。主な症状は、発熱および唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)の腫脹・疼痛です。
合併症としては無菌性髄膜炎、急性脳炎、難聴、急性膵炎などがあり、思春期以降に感染した場合は精巣炎や卵巣炎を起こすこともあります。
流行性耳下腺炎の治療は対処療法が基本です。1~2週間で軽快することが多いです。
ワクチンを接種することにより予防することができます。
流行性耳下腺炎になった場合、耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止となります。
※ 5日を経過し全身状態が良好であれば、耳下腺等の腫脹が続いていても登校できます。

扁桃肥大

扁桃肥大は口蓋扁桃が大きくなる状態で、5~7歳で大きさがピークになると言われています。重度の睡眠時無呼吸があれば手術を検討しますが、そうでなければ成長につれて扁桃組織が縮小することが多いため経過観察となることが多いです。

アデノイド肥大

鼻とのどの間にある扁桃組織(アデノイド)が肥大する病気です。4~6歳で大きさがピークになると言われています。主な症状は、いびき、鼻づまり、口呼吸、常に口が開いているなどがあります。睡眠時無呼吸や滲出性中耳炎なども合併している場合は程度によって手術が必要となる場合がありますが、軽度な場合は成長につれて扁桃組織が縮小することが多いため経過観察となることが多いです。

耳垢栓塞

急性中耳炎

滲出性中耳炎

副鼻腔炎

アレルギー性鼻炎

扁桃炎