- 2025年8月5日
滲出性中耳炎
滲出性中耳炎とは
滲出性中耳炎は、鼓膜の奥にある中耳腔に滲出液という液体が溜まってしまう病気です。

症状
滲出性中耳炎では急性中耳炎のような痛みが生じず、難聴が唯一の症状であることも少なくありません。難聴の程度も軽い場合が多いので、気づくのが遅くなってしまうこともしばしばです。
原因
耳と鼻をつなぐ管(耳管)の換気が悪くなり、耳の中に滲み出てきた体液がたまります。急性中耳炎の後に続いて起こる場合が多く、鼻かぜや副鼻腔炎(ちくのう症)、アデノイド増殖症、アレルギー性鼻炎などが原因で起こることもあります。
診察
滲出性中耳炎の診断には、鼓膜を観察するだけでなく、聴力検査、鼓膜の動きやすさを調べる検査、内視鏡検査などを行って確定診断につなげます。
治療
□ 内服治療(クラリス等の抗菌薬など)
□ 耳管通気(鼻から耳に空気を送る処置)
□ オトヴェント(耳抜きの練習をする風船)
□ 鼓膜切開(鼓膜に小さい孔をあけ中に溜まった滲出液を出します)
□ 鼓膜換気チューブ留置(鼓膜切開をしても繰り返す場合は、鼓膜が閉じないように鼓膜に換気用のチューブを入れる手術を行うこともあります)
*鼓膜換気チューブ留置の適応は、滲出性中耳炎が3ヶ月以上続き、さらに、鼓膜の状態・聴力低下の有無・言語発達の状態などを確認し総合的に判断します
*当院では外来で日帰り局所麻酔での鼓膜換気チューブ留置術を行っており、0歳のお子様から可能です
*お子様がじっとできない場合は外来で鼓膜換気チューブ留置を行うのは難しく、その際には全身麻酔で行う必要があり病院に紹介させて頂きます
□ アデノイド切除術
*4歳以上でアデノイド増殖性がある場合には、アデノイド切除術と鼓膜換気チューブ留置の併用が候補となります。その場合は病院に紹介させて頂きます。
注意
滲出性中耳炎を長期間放置していると、鼓膜が凹んでいき耳の奥(中耳)の骨と癒着する癒着性中耳炎や、鼓膜が耳の奥(中耳)に入り込み真珠腫という垢がたまり周囲の骨を溶かす真珠腫性中耳炎になりやすくなってしまいます。